再配送についての整理(メモ)

再配送時のトラブルには3パターン
■High AD -> Low AD -> High AD(Fed Back)
Summary)
GatewayがLow ADから入手した情報をHigh ADへ渡すことでHigh AD側が誤ってLow ADからの再配送を信頼してしまい、High AD側でLow ADからの再配送経路を広告してしまうため自側の経路情報が消えてしまう
Solution)
High AD -> Low ADの再配送経路にタグ情報を付加し、Low AD -> High ADの再配送時に上記タグ付き経路を再配送対象から除外する。(route-map)
GatewayルータはLow AD側の情報を信頼するので、そこも修正したい場合は同一のroute-mapによってdistribute-listでLow AD側からRIBへ取り込む経路情報をフィルタする。

■複数プロトコルでの経路情報取得ループ(AD起因)
Prerequisite)
・複数のGateway(AおよびB)が複数のプロトコルでネイバリングし
それぞれ再配送を行っている
Summary)
1.GatewayAにてHigh AD -> Low ADの再配送を行う
2.同様に、GatewayBにてLow AD -> High AD(逆向き)の再配送を行う
3.GatewayAがHigh AD -> Low ADの再配送経路をRIBに乗せるためGatewayBにはLow ADにて再配送経路が広告される
4.GatewayBはHigh ADではなくLow ADで受け取った再配送経路情報をRIBに乗せる
5.GatewayAはGatewayBのLow ADから広告された経路情報(再配送)が信頼性が高いため自身がHigh ADから再配送した経路のネクストホップをGatewayBとする(##Control Planeでの選択ミス##)
6.GatewayBはGatewayAから広告された再配送経路のネクストホップが自分になっているため、送信先が解決できず経路情報が有効にならない(=無効経路)
7.GatewayBにて、再配送経路がLow ADで無効経路となったため、High ADでの経路情報がGatewayAに広告される。
8.GatewayAはLow ADでの広告がなくなるため、High AD -> Low ADの再配送が動作する。
【以降3〜8をループ】
Reason)
Low AD -> High ADの再配送によるFed Backではなく、複数プロトコルでの経路情報交換によってLow ADに再配送された経路情報がHigh ADではなくLow AD側で交換されることにより、ネクストホップ選択不正が発生するため
Solution)
Low AD側でHigh ADからの再配送経路(外部経路)のADをHigh ADよりも高くする。それによって再配送経路の生成元をHigh AD側であると判断させることができる。

■複数プロトコルでの経路情報取得ループ(Metric)
Prerequisite)
・複数のGateway(AおよびB)が複数のプロトコルでネイバリングしそれぞれ再配送を行っている
・再配送がディスタンスベクタとリンクステートなど、Metric情報が伝搬しないプロトコル間である
・ディスタンスベクタ側がHigh ADである
Summary)
1.GatewayAがディスタンスベクタ -> リンクステートへ再配送する
(Metric情報の喪失)
2.GatewayBはリンクステート側がLow ADであるため再配送経路をRIBに乗せる
3.GatewayBがリンクステート -> ディスタンスベクタへ、再配送元より低いシードメトリックで再配送する(誤ったメトリック設定)
4.ディスタンスベクタ ドメイン内で、もともとの生成元のメトリックより低いメトリックで経路情報が広告されることにより、再配送元経路のネクストホップがGatewayBになる。それにより隣接するノードはGatewayBに近い経路を最適経路と判断する。そのため正しい生成元経路(再配送シードメトリックより高いメトリック)情報がドメイン内で喪失する。(##経路選択不正発生##)
6.GatewayBはLow ADであるリンクステートドメイン側経路情報を利用しGatewayA(リンクステートへの再配送元)への経路を選択する。またGatewayAはディスタンスベクタ ドメイン内の経路情報に基づきGatewayBに到達するための最適経路がネクストホップとなる
7.GatewayA,Bはリンクステートからの再配送経路情報がなくなるためディスタンスベクタ ドメインの正しい生成元経路情報が復活する
【以降1-7をループ】
Reason)
再配送時に喪失したメトリック情報より低いシードメトリックで経路情報が戻ってくることにより、本来の生成元経路情報が喪失するため
Solution)
・シードメトリックが再配送前のメトリックより低くならないようにする
・再配送対象とならないようタグでフィルタする

重要知識)
・再配送は「RIB上の情報」をベースに行われる。
・RIP/IGRP/EIGRPはIGPの動作するインタフェースのネットワーク情報が再配送対象となる。
・再配送を行うノード上ではConnectedしかRIBに乗らないが、再配送先ではIGPの動作するインタフェースのネットワーク情報が広告される。

参考URL)
http://www.cisco.com/c/en/us/support/docs/ip/enhanced-interior-gateway-routing-protocol-eigrp/8606-redist.html